鉄筋コンクリート構造(RC構造)の基礎知識
鉄筋コンクリート構造(RC構造)とは、「圧縮に強いコンクリート」と「引張に強い鉄筋」を組み合わせることで、構造物の強度と耐久性を高めた構造形式です。両者の特性を相互に活かすことで、荷重や地震に対して高い抵抗力を持つ構造物・建築物が実現できます。
1. 応力と断面力の基本
構造物に外力が加わると、部材内部にはそれに抵抗しようとする力(内力)が生じます。これを「断面力(部材応力)」と呼び、主に以下の3種類に分類されます。
- 軸力: 部材の軸方向に働く力(引張力・圧縮力)。
- せん断力: 部材をはさみで切るように、ずらそうとする力。
- 曲げモーメント: 部材を曲げようとする力。
これらの応力を理解することで、部材の安全性や耐力を正しく評価することが可能になります。
[(※「断面力の検索を見る。」]
2. 鉄筋とコンクリートの相互作用・役割
RC構造において、鉄筋とコンクリートは応力を分担するだけでなく、相互の性能を高め合う重要な役割を担っています。
■ 鉄筋が負担する応力
- 引張力への対応(主筋): コンクリートは引張力に弱いため、引張力が作用する部分には必ず鉄筋(主筋)を配置し、ひび割れや破壊を防ぎます。
- 圧縮力への対応(圧縮鉄筋): 圧縮力は主にコンクリートが負担しますが、圧縮鉄筋を併用することで、部材の変形能力(じん性)が向上します。
- せん断力への対応(せん断補強筋): せん断破壊を防ぐため、スターラップ(あばら筋)やフープ筋(帯筋)などのせん断補強筋を配置し、構造の安定性を高めます。
[※スターラップ筋の詳細を見る。]
[※らせん筋の詳細を見る。]
■ 相互の性能を高め合う効果
- コンクリートが鉄筋を保護: 鉄筋をアルカリ性のコンクリートで覆う(かぶり厚を確保する)ことで、防錆性や耐火性が高まり、塩害や化学物質の侵入を防止します。
- 鉄筋がコンクリートを拘束: 鉄筋はコンクリートの膨張や変形を拘束し、耐力やじん性を向上させます。地震時などの繰り返し荷重に対しても、コンクリートの剥落を防ぐ効果があります。
3. 梁の種類と応力図(イメージの重要性)
代表的な梁の種類には、以下のものがあります。
これらに「荷重」が作用すると、曲げモーメントやせん断力が発生し、ひび割れの位置や鉄筋の配置に影響を与えます。
- 単純梁
- 片持ち梁
- 張り出し柱(張出しを有する柱)
- 両端固定梁
💡 試験対策のコツ
最低限、「集中荷重」や「等分布荷重」が作用した場合の曲げモーメント図やせん断力図がイメージ出来るようにしておくと、ひび割れの発生位置や適切な鉄筋の配置位置を問う問題に対して、直感的に解けるようになります。
単純梁

片持ち梁

張出しを有する柱

両端固定梁

上記の図は「集中荷重」の場合でしたが、「等分布荷重」が作用した場合、応力図の形状が変わります。
▼ 等分布荷重が作用した場合の応力イメージ図
- 曲げモーメント図: 2次曲線になる
- せん断力図: +と-の傾斜直線になる

ラーメンの応力イメージ図

4. ひび割れの種類と特徴
鉄筋コンクリート構造に発生する主なひび割れには、応力の種類に応じて以下の特徴があります。
- 曲げひび割れ: 引張を受ける側(下縁など)から部材に対して垂直に発生する。
- 曲げせん断ひび割れ: 曲げひび割れの先端から、斜め方向に成長するひび割れ。
- 斜め引張ひび割れ: 支点付近など、せん断力が卓越する領域で斜めに発生する。
- 付着ひび割れ: 鉄筋の付着応力によって生じる、短い斜めのひび割れ。
- 収縮ひび割れ: コンクリートの乾燥や硬化に伴う体積収縮によって発生。
- 不同沈下によるひび割れ: 基礎地盤の不均等な沈下によって生じる引張力で発生。[(※「曲げひび割れ等の画像」をここに挿入)]
5. 曲げ耐力算定の基本仮定と断面用語
鉄筋コンクリート部材の曲げ耐力を設計・算定する際は、以下の「4つの仮定」を前提とします。
- 平面保持の仮定: 変形前は平面であった断面は、変形(曲げ)後も平面を保つ。
- 弾性体の仮定: 鉄筋とコンクリートは、応力とひずみが比例する「弾性体」として扱う。
- 付着力による一体化: 鉄筋とコンクリートは完全に付着しており、両者の間に「ずれ」は生じない。
- コンクリートは引張力を負担しない: 引張側においては、コンクリートの引張強度は無視し、すべて鉄筋が負担するものとする。
▼ 平面保持の仮定とは?
断面内の各点の軸方向ひずみが、中立軸からの距離に比例して「直線分布」すると仮定するものです。これにより、断面内の応力度はそのひずみにヤング係数を乗じて求めることができ、曲げ応力は断面の縁(外側)で最大となります。

■ 断面算定に関する重要用語(単鉄筋矩形断面)
断面算定で頻出する用語を整理します(上図参照)。
- ① はりの有効高さ(\(d\)): 圧縮側のコンクリート縁から、引張鉄筋断面の「中心」までの距離。
- ② 中立軸比(\(k\)): 圧縮側コンクリート縁から中立軸までの距離(\(X_n\))を、有効高さ(\(d\))で除した値。(\(k = X_n / d\))
- ③ 応力中心距離: 圧縮力の合力から、引張力の合力までの垂直距離。
- ④ 引張鉄筋比(\(p_t\)): 引張鉄筋の断面積(\(a_t\))を、コンクリートの有効断面積(\(b \times d\))で除した割合。(\(p_t = a_t / bd\))
- ⑤ つり合い鉄筋比: 曲げによる「コンクリート縁の圧縮ひずみが終局圧縮ひずみに達する」のと同時に、「鉄筋の引張応力度が降伏強度になる」ような引張鉄筋比のこと。
- 一般に、つり合い鉄筋比以下であれば「引張破壊(鉄筋が先に降伏する粘り強い破壊)」が生じ、それ以上であれば「圧縮破壊(コンクリートが先に圧壊する脆性的な破壊)」が生じます。
🔑 鉄筋コンクリート構造の学習ポイント・まとめ
- RC構造の基本概念: コンクリート(圧縮に強い)+鉄筋(引張に強い)の組み合わせ。
- 応力と断面力: 軸力・せん断力・曲げモーメントが部材にどう影響するかイメージする。
- 鉄筋の役割: 主筋(引張)、圧縮鉄筋(じん性)、せん断補強筋(せん断)の使い分け。
- 梁の応力図: 集中荷重・等分布荷重による曲げモーメント図とせん断力図を描けるようにする。
- ひび割れの特徴: 発生位置と方向から、応力の種類を推定できるようにする。
- 相互作用: コンクリートが鉄筋を保護(防錆・耐火)、鉄筋がコンクリートを拘束(じん性向上)。
- 設計上の仮定: 平面保持、弾性体、完全付着、引張はコンクリートに負担させない。
- 断面用語の理解: 有効高さ、引張鉄筋比、つり合い鉄筋比の意味と設計への影響。
📘 学習のコツ
図や模式図を活用して、応力の分布やひび割れの位置を視覚的に理解しましょう。過去問を繰り返し解き、実務における設計や施工との関連性を意識すると理解が深まります。
✍️ 解いてみよう(過去問ドリル)

四肢択一の過去問題です。正解と思う設問の○をクリックまたはタップしてください。解き終わったら「回答」をクリックまたはタップすると解答が表示されます。


