13-9 高強度コンクリート

【第Ⅰ部】コンクリート技士・主任技士
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💪 高強度コンクリートとは

高強度コンクリートとは、通常のコンクリートよりも高い圧縮強度を持つように設計されたコンクリートです。建築(JASS 5)と土木(コンクリート標準示方書)で、対象とする強度の範囲が若干異なります。

  • JASS 5(建築): 設計基準強度が 36N/mm²を超える コンクリートと定義。
    ※特に60N/mm²を超える場合は、構造体の性能を個別に確認し、仕様を詳細に定める必要があります。
  • コンクリート標準示方書(土木): 設計基準強度 50~100N/mm²程度 を対象とし、施工に必要な事項を規定しています。

🔍 特徴と性質

流動性と仕上げ性

  • 水セメント比(W/C)が35%以下と非常に小さいため、ブリーディングがほとんど発生しません。
  • その反面、コテ仕上げが困難になりやすく、表面が乾燥して「プラスチック収縮ひび割れ」が発生しやすいため、初期養生が極めて重要です。
  • 設計基準強度が48N/mm²以上になると「高流動コンクリート」の技術が用いられることが多く、その場合はスランプではなく「スランプフロー」で流動性を評価します。

📏 ワーカビリティーの評価指標

▼ JASS 5(建築)

設計基準強度スランプスランプフロー
36~45N/mm²未満21cm以下50cm以下
45~60N/mm²以下23cm以下60cm以下

▼ コンクリート標準示方書(土木)

設計基準強度評価指標と目標値
50N/mm²程度スランプ 18~21cm程度
50N/mm²を超える場合スランプフロー 50~65cm程度

🧪 力学的特性

  • 脆性的挙動: 高強度化するほど弾性的な挙動を示しますが、最大強度(ピーク)を超えた後は急激に耐力を失う「脆性(ぜいせい)的」な破壊になる傾向があります。
  • ヤング係数: 通常のコンクリートのヤング係数は圧縮強度の1/2乗に比例しますが、高強度コンクリートでは圧縮強度の 1/3乗に比例 します。

🛡️ 耐久性と特有の弱点

高強度コンクリートは耐久性に優れる一方で、特有の弱点も持ち合わせています。

  • 耐久性の向上: セメントペーストが極めて緻密になるため、中性化の進行速度が遅く、耐凍害性も大幅に向上します。
  • アルカリ骨材反応への警戒: 単位セメント量が多くなるため、コンクリート中の総アルカリ量が増加します。必ず「無害」と判定された骨材を使用するなどの対策が必須です。
  • 自己収縮の増大: 水セメント比が小さいため「乾燥収縮」は小さいものの、セメントの水和反応で内部の水が消費されることによる「自己収縮」が大きくなります。そのため、高強度であってもひび割れが起きにくいとは限りません。
  • 🔥 火災時の「爆裂」リスク: 組織が緻密すぎるため、火災などの高温に晒された際、内部の水分が急激に蒸発して逃げ場を失い、内圧が高まって表面が激しく破裂する「爆裂(ばくれつ)」現象が発生する可能性があります。

🏗️ 製造と施工管理

  • 計量誤差への敏感さ: 材料の品質変動に非常に敏感です。特に、細骨材の「表面水率」の厳密な管理が品質を左右します。
  • 練混ぜ量の制限: 粘性が非常に高いため、ミキサへの負荷が大きくなります。設計基準強度が60N/mm²クラスの場合、1バッチの練混ぜ量はミキサ容量の2/3程度に抑えるのが適切です。

🚚 運搬のポイント

高強度コンクリートの現場内運搬には、コンクリートポンプによる圧送が一般的です。 しかし、粘性が高いため圧送時の管内圧力損失は通常のコンクリートの2~4倍に達します。そのため、以下の点に十分注意した圧送計画が必要です。

  • 十分な最大吐出圧力(圧送能力)を持つポンプ車の選定
  • 適切な排出量(圧送速度)の確保
  • 圧力損失を抑えるための、適切な輸送管径の選定