水中で施工されるコンクリートは、直接目視で確認しづらく、施工方法の良否が品質に直結します。
特に水による「材料分離」を防ぐ工夫が極めて重要であり、用途に応じた適切な配合と施工技術が求められます。
1. 一般的な水中コンクリート
🔧 施工方法の原則
- 連続打込みが原則: 途中で打ち継ぎを設けないように連続して打ち込みます。
- 使用機材: トレミー管(水密性の鋼管)またはコンクリートポンプを使用します。
※底開き箱や底開き袋は品質確保が難しいため、原則として使用しません。 - 静水中での施工: 水の流速は 5cm/s以下 の静水とし、コンクリートの水中落下は厳禁です。
- 管の挿入深さ: トレミー管やポンプの先端は、常に打ち込まれたコンクリートの中に 30~50cm 挿入した状態を保ち、所定の高さ(または水面上)まで連続して押し上げるように打ち込みます。

⚙ 配合のポイント
- 水セメント比: 50%以下(標準)
- 単位セメント量: 370 kg/m³以上(標準)
- 細骨材率(砂利使用時): 40~45%(※砕石使用時はさらに3~5%増加させる)
- 配合強度: 水中での品質低下を見込み、高めに設定します(標準供試体強度の0.6~0.8倍になることを想定して配合を決定)。
2. 水中不分離性コンクリート
「水中不分離性混和剤」を使用し、粘性を大幅に高めることで材料分離を抑えた高流動コンクリートです。
🔍 主な用途
- 港湾構造物、水中基礎
- 地下構造物(常時水に浸かる部位)
🌊 特徴(長所と短所)
- 長所: 高い充填性とセルフレベリング性を持ち、水中落下でも分離しにくく、ブリーディングもほとんど発生しません。
- 短所: 凝結時間が5~10時間遅延します。また、乾燥収縮が通常の20~30%大きくなるため「常時水中にある構造物」に限定して使用されます。耐凍害性も低いため、凍結融解の恐れがある場所には使用できません。
📌 施工・製造時の留意点(試験頻出!)
- 流動性の評価: スランプフローで評価します(※スランプコーンを引き上げてから 5分後 に測定)。
- 練混ぜ: 負荷が大きいため必ず「強制練りミキサ」を用い、1回の練混ぜ量は公称容量の 80%以下、練混ぜ時間は通常より長い 90~180秒 とします。
- 打込み条件: 静水中(流速5cm/s以下)とし、水中落下高さは 50cm以下、水中での横移動距離は 5m以下 とします。
- 圧送時の注意: コンクリートポンプで圧送する場合、高粘性のため圧送負荷は通常の 2~3倍 になり、打込み速度は 1/2~1/3程度 に低下します。
3. 場所打ち杭および地下連続壁に使用する水中コンクリート
ベントナイトなどの「安定液」で孔壁を保護しながら、その中にコンクリートを打ち込む特殊な施工法です。
📋 仕様と規定値(標準示方書 vs JASS 5)
土木学会(標準示方書)と日本建築学会(JASS 5)で規定値が異なるため、以下の表で整理しておきましょう。
| 項目 | コンクリート標準示方書(土木) | JASS 5(建築) |
| 粗骨材の最大寸法 | – | 鉄筋あきの1/2以下、かつ25mm以下 |
| スランプ | 18~21cm | 21cm以下 |
| 水セメント比 | 55%以下 | 杭:60%以下、 連続壁:55%以下 |
| 単位セメント量 | 350 kg/m³以上 | 杭:330 kg/m³以上、 連続壁:360 kg/m³以上 |
| 余盛り高さ | 50cm以上 | 50~100cm |
🛠️ 施工上の留意点
- かぶり厚さ: 10cm以上を確保する(標準示方書)。
- スライム処理: 打込み前に、孔底に沈殿したスライム(泥やスライム状の土砂)を確実に除去する。
- トレミー管の挿入深さ: 一般的な水中コンクリートより深く、先端をコンクリート中に 2m以上 挿入した状態を保持して打ち込む。
✅ 試験対策のまとめ
- 「一般的な水中コンクリート」のトレミー管挿入深さ(30〜50cm)と、「場所打ち杭」の挿入深さ(2m以上)の違いを混同しないように注意。
- 水中不分離性コンクリート特有の数値(スランプフロー5分後測定、ミキサ容量80%以下、水中移動5m以下など)を確実に暗記する。
- 場所打ち杭における標準示方書とJASS 5の基準値の違いを比較表で整理しておく。

