本記事では、コンクリート技士・主任技士試験でたびたび出題される「その他の特殊なコンクリート」について、それぞれの特徴と試験対策のポイントを概要としてまとめます。
1. 短繊維補強コンクリート
短く不連続な繊維をコンクリート中に均一に分散させることで、ひび割れ抵抗性、じん性(曲げタフネス)、引張・曲げ・せん断強度、耐衝撃性を大幅に向上させた複合材料です。
■ 繊維の種類と用途
- 鋼繊維(スチールファイバー): 最も一般的に使用されます。
- 合成繊維(ポリプロピレン等): 建築分野で「高強度コンクリートの爆裂防止」、土木分野で「RC構造物のかぶりコンクリートの剥落防止」などに用いられます。
■ 配合と施工の留意点
- 鋼繊維の標準仕様: 長さ 20〜60mm、直径 0.1〜0.9mm、アスペクト比(長さ/直径) 30〜80
- 混入率の限界: 混入率が体積の 2%以上 になると、練混ぜや繊維の均一分散が極めて困難になります。
- ワーカビリティーの低下: 繊維の混入によりスランプが大きく低下するため、細骨材率や単位水量の適切な調整(または高性能AE減水剤の使用)が必要です。
2. 舗装コンクリート
交通荷重による「曲げ応力」に耐える必要があるため、圧縮強度ではなく「28日材齢時の曲げ強度」を設計基準とすることが基本です。
(※なお、JIS A 5308の2023年改正により、特性値に圧縮強度を用いることも可能になりました。)
■ 材料と配合の基準
| 項目 | 基準値・目安 |
| セメント | 普通ポルトランドセメントが一般的(寒中・緊急時は早強・超速硬など) |
| 粗骨材の最大寸法 | 40mm以下 |
| すりへり減量 | 35%以下 (寒冷地では25%以下を推奨) |
| 単位水量 | 150 kg/m³以下 を目安に、必要最小限とする |
| 水セメント比 | 凍結融解が頻繁な場合:55%以下 / 時々の場合:60%以下 |
■ 施工と養生
- 敷きならし・締固めには、スプレッダやコンクリートフィニッシャを使用します。
- 表面積が大きく非常に乾燥しやすいため、初期養生が重要です。
- 養生期間は、現場供試体の曲げ強度が配合強度の70%に達するまでとします。
3. 転圧コンクリート舗装(RCCP)
RCCP(Roller Compacted Concrete Pavement)は、振動ローラなどの大型重機で締固める「超硬練りコンクリート」を使用した舗装工法です。
■ 特徴と規定値
- 配合: 水セメント比は 35%程度 が一般的。単位水量は 約100 kg/m³ と非常に少なく、乾燥収縮が小さいのが特徴です。
- 骨材: 粗骨材が多く耐摩耗性に優れます。平坦性を重視する場合、粗骨材の最大寸法は20mmがよく用いられます。
- 強度特性: 圧縮強度に対する曲げ強度の比率(割合)が大きい傾向があります。
- コンシステンシー試験: 超硬練りであるため、スランプではなく「修正VC試験」や「マーシャル突き固め試験」で評価します。
- 締固め率: 96% が標準です。
4. 気泡コンクリート
多量の気泡を人工的に混入・発生させて製造する軽量コンクリートです。製造方法によって以下の3タイプに分かれます。
- アフターフォームタイプ: アルミニウム粉末がセメント中のアルカリ成分と反応し、「水素ガス」を発生させる方式。
- プレフォームタイプ: たん白質系物質や界面活性剤をあらかじめ撹拌して作った「気泡(泡)」を、セメントスラリーに混合する方式。
- ミックスフォームタイプ: AE剤などの気泡剤を、練混ぜの最中に添加して気泡を発生させる方式。
5. 遮蔽用(しゃへいよう)コンクリート(JASS 5)
放射線(主にガンマ線、X線、中性子線)を遮る目的で使用される特殊コンクリートです。
「どの放射線を遮断するか」によって使用する特殊骨材が変わるため、試験対策として必ず区別して覚えてください。
■ 放射線の種類と有効な材料
| 遮蔽の対象 | 対策の原理 | 有効な骨材の例(頻出!) |
| ガンマ線・X線 | コンクリートの「密度(質量)」を高める | 磁鉄鉱、バライト(重晶石)、砂鉄などの「重量骨材」 |
| 中性子線 | 水素(結晶水)やホウ素を含む材料を使う | 蛇紋岩、褐鉄鉱、ボロカルサイト、コルマナイトなど |
■ 配合と施工の規定(JASS 5)
- セメント: 水和熱によるひび割れを防ぐため、低発熱・低収縮タイプのセメントが望ましい。
- 配合基準: スランプ 15cm以下、水セメント比 60%以下。
- 施工の注意: 放射線の漏えい(すり抜け)を防ぐため、打継ぎ目は極力避けます。やむを得ず設ける場合は、水平や垂直の一直線ではなく「段差」を設けて遮蔽性能を確保します。
6. 吹付けコンクリート
圧縮空気を用いて、ホースの先端から対象面(トンネルの壁・天井や、山の法面など)に直接コンクリートを吹き付けて施工する工法です。型枠を必要とせず、掘削後すぐに地山を安定させることができます。
■ 施工方式(2つのタイプ)
- 乾式工法: セメントと骨材を「水を含まない空練り」の状態でホースを圧送し、ノズルの先端で水と急結剤を混合して吹き付ける方式。
- 湿式工法: あらかじめ水を含めて練り混ぜたコンクリートを圧送し、ノズル先端で急結剤を添加して吹き付ける方式。粉じんの発生が少ないため、現在はこちらが主流です。
■ 配合と材料の特徴
- 急結剤の使用: 壁面や天井面に吹き付けてもダレて落ちてこないように、数分で瞬時に凝結させる「急結剤」を添加します。
- 粗骨材の最大寸法: ホース内の閉塞や、壁面からの跳ね返り(リバウンド)を防ぐため、15mm以下など小さめに設定されます。
- 単位セメント量: 付着性を良くするため、通常のコンクリートよりも多くなる傾向があります。
■ 施工上の留意点と対策(試験頻出!)
- リバウンド(跳ね返り)の抑制: 吹き付けた材料が壁面から跳ね返って落ちる「リバウンド」は材料ロスに直結します。これを最小限に抑えるため、ノズルの向きは対象面に対して直角(90度)に保ち、吹き付け距離は1m程度を維持することが基本です。
- 粉じん対策: 密閉されたトンネル内などでは、粉じんが作業環境を著しく悪化させます。湿式工法の採用や、適切な換気設備の設置が必須です。
- 短繊維の混入(鋼繊維補強): 吹付けコンクリートのじん性(粘り強さ)を向上させ、はく落を防止するために、鋼繊維などを混入した「短繊維補強吹付けコンクリート」もよく用いられます(本記事の1項と関連)。

