13-11 その他のコンクリートの概要 

【第Ⅰ部】コンクリート技士・主任技士

本記事では、コンクリート技士・主任技士試験でたびたび出題される「その他の特殊なコンクリート」について、それぞれの特徴と試験対策のポイントを概要としてまとめます。

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1. 短繊維補強コンクリート

短く不連続な繊維をコンクリート中に均一に分散させることで、ひび割れ抵抗性、じん性(曲げタフネス)、引張・曲げ・せん断強度、耐衝撃性を大幅に向上させた複合材料です。

■ 繊維の種類と用途

  • 鋼繊維(スチールファイバー): 最も一般的に使用されます。
  • 合成繊維(ポリプロピレン等): 建築分野で「高強度コンクリートの爆裂防止」、土木分野で「RC構造物のかぶりコンクリートの剥落防止」などに用いられます。

■ 配合と施工の留意点

  • 鋼繊維の標準仕様: 長さ 20〜60mm、直径 0.1〜0.9mm、アスペクト比(長さ/直径) 30〜80
  • 混入率の限界: 混入率が体積の 2%以上 になると、練混ぜや繊維の均一分散が極めて困難になります。
  • ワーカビリティーの低下: 繊維の混入によりスランプが大きく低下するため、細骨材率や単位水量の適切な調整(または高性能AE減水剤の使用)が必要です。

2. 舗装コンクリート

交通荷重による「曲げ応力」に耐える必要があるため、圧縮強度ではなく「28日材齢時の曲げ強度」を設計基準とすることが基本です。

(※なお、JIS A 5308の2023年改正により、特性値に圧縮強度を用いることも可能になりました。)

■ 材料と配合の基準

項目基準値・目安
セメント普通ポルトランドセメントが一般的(寒中・緊急時は早強・超速硬など)
粗骨材の最大寸法40mm以下
すりへり減量35%以下 (寒冷地では25%以下を推奨)
単位水量150 kg/m³以下 を目安に、必要最小限とする
水セメント比凍結融解が頻繁な場合:55%以下 / 時々の場合:60%以下

■ 施工と養生

  • 敷きならし・締固めには、スプレッダやコンクリートフィニッシャを使用します。
  • 表面積が大きく非常に乾燥しやすいため、初期養生が重要です。
  • 養生期間は、現場供試体の曲げ強度が配合強度の70%に達するまでとします。

3. 転圧コンクリート舗装(RCCP)

RCCP(Roller Compacted Concrete Pavement)は、振動ローラなどの大型重機で締固める「超硬練りコンクリート」を使用した舗装工法です。

■ 特徴と規定値

  • 配合: 水セメント比は 35%程度 が一般的。単位水量は 約100 kg/m³ と非常に少なく、乾燥収縮が小さいのが特徴です。
  • 骨材: 粗骨材が多く耐摩耗性に優れます。平坦性を重視する場合、粗骨材の最大寸法は20mmがよく用いられます。
  • 強度特性: 圧縮強度に対する曲げ強度の比率(割合)が大きい傾向があります。
  • コンシステンシー試験: 超硬練りであるため、スランプではなく「修正VC試験」や「マーシャル突き固め試験」で評価します。
  • 締固め率: 96% が標準です。

4. 気泡コンクリート

多量の気泡を人工的に混入・発生させて製造する軽量コンクリートです。製造方法によって以下の3タイプに分かれます。

  • アフターフォームタイプ: アルミニウム粉末がセメント中のアルカリ成分と反応し、「水素ガス」を発生させる方式。
  • プレフォームタイプ: たん白質系物質や界面活性剤をあらかじめ撹拌して作った「気泡(泡)」を、セメントスラリーに混合する方式。
  • ミックスフォームタイプ: AE剤などの気泡剤を、練混ぜの最中に添加して気泡を発生させる方式。

5. 遮蔽用(しゃへいよう)コンクリート(JASS 5)

放射線(主にガンマ線、X線、中性子線)を遮る目的で使用される特殊コンクリートです。

「どの放射線を遮断するか」によって使用する特殊骨材が変わるため、試験対策として必ず区別して覚えてください。

■ 放射線の種類と有効な材料

遮蔽の対象対策の原理有効な骨材の例(頻出!)
ガンマ線・X線コンクリートの「密度(質量)」を高める磁鉄鉱、バライト(重晶石)、砂鉄などの「重量骨材」
中性子線水素(結晶水)やホウ素を含む材料を使う蛇紋岩、褐鉄鉱、ボロカルサイト、コルマナイトなど

■ 配合と施工の規定(JASS 5)

  • セメント: 水和熱によるひび割れを防ぐため、低発熱・低収縮タイプのセメントが望ましい。
  • 配合基準: スランプ 15cm以下、水セメント比 60%以下
  • 施工の注意: 放射線の漏えい(すり抜け)を防ぐため、打継ぎ目は極力避けます。やむを得ず設ける場合は、水平や垂直の一直線ではなく「段差」を設けて遮蔽性能を確保します。

6. 吹付けコンクリート

圧縮空気を用いて、ホースの先端から対象面(トンネルの壁・天井や、山の法面など)に直接コンクリートを吹き付けて施工する工法です。型枠を必要とせず、掘削後すぐに地山を安定させることができます。

■ 施工方式(2つのタイプ)

  • 乾式工法: セメントと骨材を「水を含まない空練り」の状態でホースを圧送し、ノズルの先端で水と急結剤を混合して吹き付ける方式。
  • 湿式工法: あらかじめ水を含めて練り混ぜたコンクリートを圧送し、ノズル先端で急結剤を添加して吹き付ける方式。粉じんの発生が少ないため、現在はこちらが主流です。

■ 配合と材料の特徴

  • 急結剤の使用: 壁面や天井面に吹き付けてもダレて落ちてこないように、数分で瞬時に凝結させる「急結剤」を添加します。
  • 粗骨材の最大寸法: ホース内の閉塞や、壁面からの跳ね返り(リバウンド)を防ぐため、15mm以下など小さめに設定されます。
  • 単位セメント量: 付着性を良くするため、通常のコンクリートよりも多くなる傾向があります。

■ 施工上の留意点と対策(試験頻出!)

  • リバウンド(跳ね返り)の抑制: 吹き付けた材料が壁面から跳ね返って落ちる「リバウンド」は材料ロスに直結します。これを最小限に抑えるため、ノズルの向きは対象面に対して直角(90度)に保ち、吹き付け距離は1m程度を維持することが基本です。
  • 粉じん対策: 密閉されたトンネル内などでは、粉じんが作業環境を著しく悪化させます。湿式工法の採用や、適切な換気設備の設置が必須です。
  • 短繊維の混入(鋼繊維補強): 吹付けコンクリートのじん性(粘り強さ)を向上させ、はく落を防止するために、鋼繊維などを混入した「短繊維補強吹付けコンクリート」もよく用いられます(本記事の1項と関連)。