コンクリートの運搬は、製造直後から打設までの品質を保つための重要な工程です。スランプや空気量の変化を抑え、材料分離や閉塞を防ぐために、適切な運搬方法と時間管理が求められます。
現場までの運搬
1.運搬時間の限度
練り混ぜたコンクリートは、一般に時間とともにスランプや空気量が減少します。そのため、レディーミクストコンクリートのJIS、コンクリート標準示方書、JASS 5 では、下表のように外気温に応じた運搬時間の限度が定められています。
| 外気温条件 | 運搬時間の限度 |
| 25℃を超える場合 | 1.5時間以内 |
| 25℃以下の場合 | 2.0時間以内 |
※JIS A 5308、コンクリート標準示方書、JASS 5で共通の基準です。
各規準の一覧

💡 覚え方のコツ 各規準(JIS、標準示方書、JASS 5)で用語の定義が微妙に異なる部分はありますが、「外気温25℃超え=1.5時間以内」「25℃以下=2.0時間以内」という数値は共通しています。この数値をそのまま暗記しておくことが、試験対策上とても有効です。
2.運搬方法
a)トラックアジテータ(ミキサー車)
- 条件: 排出時にコンクリート流の「1/4」と「3/4」の断面から試料を採取し、スランプ差が3cm以内となるような撹拌性能が求められます。
- 対象スランプ範囲:8~18cm
b)ダンプトラック
- 使用対象:舗装用や硬練りコンクリート(スランプ5cm以下)
- 条件:10km以内・1時間以内の運搬
3)荷下ろし地点での受け入れ条件
- 用途: 舗装用や硬練りコンクリート(スランプ5cm以下)
- 条件: 運搬距離10km以内、かつ運搬時間1時間以内
現場内の運搬(コンクリートポンプ)
1. 配管設計の留意点
- 配管径・経路は、コンクリートの種類・粗骨材寸法・ポンプ形式・安全性などを考慮して決定する。
- 配管距離はできるだけ短くし、曲がり(ベント)を少なくする。
2.ポンプの種類
| 種類 | 特徴・用途 |
| ピストン式 | 油圧式で高圧・大容量の圧送が可能。長距離・高所の圧送に適している。 |
| スクイズ式 | ゴムチューブをローラーでしごいて圧送する方式。小規模工事や軟練りコンクリートに適している。 |
圧送負荷の算定方法
1.土木学会の方法
垂直管・ベント管・テーパ管・フレキシブルホースなどを「水平配管」に換算(水平換算係数を使用)して計算します。
合計長 × 管内圧力損失 = 最大圧送負荷(Pmax)
ポイント: スランプが小さい、管径が細い、吐出量が多いほど、圧力損失は大きくなります。
水平換算係数
出典:コンクリート標準示方書【施工編】

💡 ※スマホでご覧の方へ 画面上の図表は、ピンチアウト(画面に2本指を当てて広げる動作)で拡大してご確認いただけます。

上のグラフからは「管径が細い(100A等)ほど、または吐出量が大きいほど管内圧力損失が大きくなる」ことがわかります。また、下の図からは「スランプが小さいほど管内圧力損失が大きくなる」ことが明確に読み取れます。
(出典:コンクリート標準示方書【施工編】)
出典:コンクリート標準示方書【施工編】
2.日本建築学会方式(数式)
建築学会方式では、以下の式により圧送負荷を算出します:
$$ P=K(L+3B+2T+2F) + W₀H\times10^{-3} $$
\(P\):コンクリートポンプに加わる圧送負荷(N/mm²)
\(K\):水平配管の管内圧力損失(N/mm²/m)
\(L\):直管の長さ(m)
\(B\):ベント管の長さ(m)
\(T\):テーパ管の長さ(m)
\(F\):フレキシブルホースの長さ(m)
\(W₀\):フレッシュコンクリートの単位容積質量(t/m³)に重力加速度(10m/s²)を乗じたもの(kN/m³) \(H\):圧送高さ(m)
→ この算定値に対し、1.25倍以上の最大吐出圧力を持つポンプを選定します。
圧送時の注意点
- セメント量が少ないと材料分離・閉塞のリスクが高まる。
- スランプが小さいと吸い込み性能が低下する。
- 粒度分布が悪いと流動性が低下し閉塞しやすくなる。
- 砕石を使用する場合は、細骨材率をやや高めに設定する。
- 暑中環境下の早強コンクリートは凝結が早いため、管内での滞留を避ける。
- 軽量骨材を使用する場合は、事前に十分なプレウェッティング(吸水処理)を行う。
その他の運搬方法
現場内の運搬には、ポンプ以外にも以下のような方法があります。
コンクリートバケット
クレーンで吊り上げて運搬。
振動が少なく材料分離を防げるため、主にダムなどの硬練りコンクリートに使用されます。
→コンクリートバケットの画像を見る。
シュート
原則として「縦シュート」を使用します。
斜めシュートを使用する場合は、水平2:垂直1の傾斜が目安です。
→シュートの画像検索を見る。
ベルトコンベア
日光や風雨による品質変化を防ぐためのカバー等の対策が必要です。
終端には材料分離を防ぐバッフルプレートや漏斗管を設置します。
手押し車・トロッコ
材料分離を防ぐため、ごく短距離の運搬を原則とします。
✅ 試験対策のポイント
- 運搬時間の限度(外気温25℃を境界とした1.5時間・2.0時間の違い)を暗記する。
- トラックアジテータ、ダンプトラックそれぞれの使用条件を整理する。
- ポンプの形式(ピストン式・スクイズ式)と用途の違いを把握する。
- 圧送負荷の算定式(建築学会方式の各記号の意味)を理解する。
- 圧送中の材料分離や閉塞の原因と、その対策を覚える。
解いてみよう

✍️ 解いてみよう(過去問ドリル)
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