12-1 コンクリートの施工:運搬

【第Ⅰ部】コンクリート技士・主任技士

コンクリートの運搬は、製造直後から打設までの品質を保つための重要な工程です。スランプや空気量の変化を抑え、材料分離や閉塞を防ぐために、適切な運搬方法と時間管理が求められます。

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現場までの運搬

1.運搬時間の限度

練り混ぜたコンクリートは、一般に時間とともにスランプや空気量が減少します。そのため、レディーミクストコンクリートのJIS、コンクリート標準示方書、JASS 5 では、下表のように外気温に応じた運搬時間の限度が定められています。

外気温条件運搬時間の限度
25℃を超える場合1.5時間以内
25℃以下の場合2.0時間以内

※JIS A 5308、コンクリート標準示方書、JASS 5で共通の基準です。

各規準の一覧

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2.運搬方法

a)トラックアジテータ(ミキサー車)

  • 条件: 排出時にコンクリート流の「1/4」と「3/4」の断面から試料を採取し、スランプ差が3cm以内となるような撹拌性能が求められます。
  • 対象スランプ範囲8~18cm

b)ダンプトラック

  • 使用対象:舗装用や硬練りコンクリート(スランプ5cm以下)
  • 条件:10km以内・1時間以内の運搬

3)荷下ろし地点での受け入れ条件

  • 用途: 舗装用や硬練りコンクリート(スランプ5cm以下)
  • 条件: 運搬距離10km以内、かつ運搬時間1時間以内

現場内の運搬(コンクリートポンプ)

1. 配管設計の留意点

  • 配管径・経路は、コンクリートの種類・粗骨材寸法・ポンプ形式・安全性などを考慮して決定する。
  • 配管距離はできるだけ短くし、曲がり(ベント)を少なくする。

2.ポンプの種類

種類特徴・用途
ピストン式油圧式で高圧・大容量の圧送が可能。長距離・高所の圧送に適している。
スクイズ式ゴムチューブをローラーでしごいて圧送する方式。小規模工事や軟練りコンクリートに適している。

コンクリートポンプ車配管打設の画像を見る

圧送負荷の算定方法

1.土木学会の方法

垂直管・ベント管・テーパ管・フレキシブルホースなどを「水平配管」に換算(水平換算係数を使用)して計算します。

合計長 × 管内圧力損失 = 最大圧送負荷(Pmax)

ポイント: スランプが小さい、管径が細い、吐出量が多いほど、圧力損失は大きくなります。

水平換算係数

出典:コンクリート標準示方書【施工編】

💡 ※スマホでご覧の方へ 画面上の図表は、ピンチアウト(画面に2本指を当てて広げる動作)で拡大してご確認いただけます。

上のグラフからは「管径が細い(100A等)ほど、または吐出量が大きいほど管内圧力損失が大きくなる」ことがわかります。また、下の図からは「スランプが小さいほど管内圧力損失が大きくなる」ことが明確に読み取れます。
(出典:コンクリート標準示方書【施工編】)

出典:コンクリート標準示方書【施工編】

2.日本建築学会方式(数式)

建築学会方式では、以下の式により圧送負荷を算出します:

$$ P=K(L+3B+2T+2F) + W₀H\times10^{-3} $$

\(P\):コンクリートポンプに加わる圧送負荷(N/mm²)
\(K\):水平配管の管内圧力損失(N/mm²/m)
\(L\):直管の長さ(m)
\(B\):ベント管の長さ(m)
\(T\):テーパ管の長さ(m)
\(F\):フレキシブルホースの長さ(m)
\(W₀\):フレッシュコンクリートの単位容積質量(t/m³)に重力加速度(10m/s²)を乗じたもの(kN/m³) \(H\):圧送高さ(m)

→ この算定値に対し、1.25倍以上の最大吐出圧力を持つポンプを選定します。

圧送時の注意点

  • セメント量が少ないと材料分離・閉塞のリスクが高まる。
  • スランプが小さいと吸い込み性能が低下する。
  • 粒度分布が悪いと流動性が低下し閉塞しやすくなる。
  • 砕石を使用する場合は、細骨材率をやや高めに設定する。
  • 暑中環境下の早強コンクリートは凝結が早いため、管内での滞留を避ける。
  • 軽量骨材を使用する場合は、事前に十分なプレウェッティング(吸水処理)を行う。

その他の運搬方法

現場内の運搬には、ポンプ以外にも以下のような方法があります。

コンクリートバケット

クレーンで吊り上げて運搬。

振動が少なく材料分離を防げるため、主にダムなどの硬練りコンクリートに使用されます。

コンクリートバケットの画像を見る。

シュート

原則として「縦シュート」を使用します。

斜めシュートを使用する場合は、水平2:垂直1の傾斜が目安です。

シュートの画像検索を見る。

ベルトコンベア

日光や風雨による品質変化を防ぐためのカバー等の対策が必要です。

終端には材料分離を防ぐバッフルプレートや漏斗管を設置します。

手押し車・トロッコ

材料分離を防ぐため、ごく短距離の運搬を原則とします。

✅ 試験対策のポイント

  • 運搬時間の限度(外気温25℃を境界とした1.5時間・2.0時間の違い)を暗記する。
  • トラックアジテータ、ダンプトラックそれぞれの使用条件を整理する。
  • ポンプの形式(ピストン式・スクイズ式)と用途の違いを把握する。
  • 圧送負荷の算定式(建築学会方式の各記号の意味)を理解する。
  • 圧送中の材料分離や閉塞の原因と、その対策を覚える。

解いてみよう

✍️ 解いてみよう(過去問ドリル)

理解度を確認するために、以下の過去問題に挑戦してみましょう。 四肢択一の過去問題です。正解と思う設問の○をタップ(クリック)してください。「回答」ボタンで結果と解説が表示されます。

施工(運搬)についての問題

問題1 コンクリートの圧送に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。

問題2 コンクリートの運搬に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。

問題3 レディーミクストコンクリートの運搬および、運搬車に関する次の記述のうち、JISA 5308 (レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、正しいものはどれか。

問題4 コンクリートの圧送に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。

問題5 現場内におけるコンクリートの運搬に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。

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