コンクリート診断士試験において、択一式(マークシート)でいくら高得点を取っても、この「記述式(小論文)」で基準点に達しなければ、容赦なく不合格となります。試験の最大の難関は、間違いなくここにあります。
「文章を書くのが苦手で…」と恐れる必要はありません。
コンクリート診断士試験の論文は、「感想文」ではなく「技術報告書」です。つまり、文才は一切不要。「決まった型」にはめて書くだけで、誰でも確実に合格ラインの答案が作れるのです。
この記事では、どんな問題が出題されてもブレずに書ける「万能の構成テンプレート」を大公開します。
【実務者・受験生の方へ:白紙の恐怖をなくすなら】
この記事で解説する「論文の型」をベースに、塩害・中性化・ASRなどの具体的なケーススタディで「調査計画から対策までを一筆書きでまとめるトレーニング」ができる実戦ドリルを公開しました。
「わかっているのに文章が出てこない」という方は、記事と合わせてご活用ください。
▼ 調査は「逆算」で作れ! 迷わない答案作成術 ▼
[👉 診断士ドリル-12A 調査計画の立て方(Note版)]

1. 合格する論文の「3つの鉄則」
具体的な書き方の前に、採点官がどこを見ているか(採点基準)を知りましょう。合格答案には共通する鉄則があります。
鉄則①:結論(原因)を最初にズバリ言う
「~という状況から、~だと思われるが、~の可能性もあり…」といった煮え切らない文章はNGです。
「劣化原因は、○○であると推定される。」
このように、冒頭で言い切る勇気を持ってください。診断士は医師と同じです。患者(構造物)に「何の病気か」を最初にはっきり告げるのがプロの仕事です。
鉄則②:一貫性を持たせる(絶対にブレない)
これが最も重要です。以下の「悪い例」を見てください。
❌ 悪い例(ストーリーが崩壊している)
- 原因:「塩害」と診断した。
- 調査:「中性化深さ」を測った。
- 対策:「ASR対策(防水)」をした。
これでは論理が破綻しています。「塩害」と診断したなら、調査は「塩分量プロファイル」、対策は「脱塩や断面修復・電気防食」でなければなりません。この「原因 \(\rightarrow\) 調査 \(\rightarrow\) 対策」の整合性が崩れると、致命的な減点になります。
鉄則③:指定文字数の8割以上を埋める
「1000字以内」と指定されたら、最低でも800字は書きましょう。白紙部分が多いと「書くことがない(知識不足)」とみなされます。テクニック以前に、あなたの熱意と知識量を「文字数」という物理的な量で示してください。
2. 合格答案の「黄金構成(3段ロケット)」
記述式問題(特に記述式問題A)の多くは、以下の3つを問う構成になっています。これをそのまま見出しにして、3つのブロックで文章を構成します。
🚀 第1ブロック:変状の原因推定(なぜ劣化したか?)
写真や問題文の「観察結果」から、「なぜその原因だと判断したか」の根拠を論理的に列挙します。
- 使うキーワード:網目状ひび割れ、鉄筋に沿ったひび割れ、錆汁、ポップアウト、海岸近く、寒冷地など。
🚀 第2ブロック:調査・試験方法(どうやって確認するか?)
推定した原因を「確定」させるための裏付け調査を書きます。
- ポイント:必ず「非破壊試験(一次的な当たり付け)」と「微破壊試験・化学分析(最終的な確定)」の両方をセットで挙げると、プロらしい調査計画として高評価を得られます。
🚀 第3ブロック:補修・補強の方針(どう直すか?)
劣化の進行度やクライアントの要求に応じた対策を書きます。
- ポイント:単に工法を挙げるだけでなく、「進行性があるかどうか(水や塩分を断つ必要があるか)」に触れ、それに応じた工法(表面被覆か、断面修復かなど)を理由とともに選定します。
3. そのまま使える!「万能テンプレート」
この「型」を覚えて、試験本番では( )の中身を自分の知識で入れ替えるだけです。このまま暗記してしまいましょう。今回は「塩害」を例にしています。
【記述式 万能テンプレート】
1.変状の原因推定とその理由
本構造物に発生している変状の主な原因は、(劣化名:塩害)であると推定される。その理由は以下の通りである。
① (形状的特徴):写真において、主鉄筋に沿った直線的なひび割れと、そこからの錆汁の流出が確認できるため。
② (環境的特徴):問題文に「海岸から200m」とあり、飛来塩分の影響を強く受ける環境であるため。
③ (除外理由):ひび割れに白色ゲル等の付着物は見られず、ASRの可能性は低いと考えられる。
2.原因特定のために行う調査・試験
推定を裏付け、劣化度を総合的に診断するために以下の調査を行う。
① (非破壊検査):自然電位法により、鉄筋腐食の範囲と確率を非破壊で面的に把握する。また、電磁波レーダ法により、かぶり厚さが不足している帯域がないか確認する。
② (微破壊・化学分析):コアを採取し、深さごとの水溶性塩化物イオン量を測定する(プロファイル取得)。これにより、鉄筋位置での塩分量が発錆限界値(一般に1.2~2.0kg/m³)を超えているか確認し、腐食リスクを確定する。
3.補修・補強の方針
調査の結果、鉄筋腐食が進行しているが、断面欠損は軽微であると仮定し、以下の補修を行う。
① (劣化因子の遮断):これ以上の塩分および水分・酸素の侵入を防ぐため、表面被覆工法またはシラン系表面含浸工法を採用する。
② (断面修復):ひび割れ幅が大きい箇所や浮きがある箇所は、健全部の鉄筋裏まではつり取りを行い、防錆処理を施した上でポリマーセメントモルタル等で断面修復を行う。
なお、施工後は将来的な維持管理のため、定期的な目視点検や電位測定を計画する。
💡 自分の言葉で「調査の落とし穴」を回避できますか?
テンプレートを覚えたら、次は「ありがちな失敗」を避ける書き方を身につけましょう。
Note版の「診断士ドリル-12B(調査計画の落とし穴)」では、代表性不足や過剰調査といった「やってはいけない調査設計」を回避し、説得力のある答案に仕上げるテクニックを解説しています。
▼ データが多いほど「迷宮」に入る。矛盾の罠を回避せよ ▼
[👉 診断士ドリル-12B 調査計画の落とし穴(Note版)]

4. 記述レベルを上げる「魔法の接続詞」
いくら内容が良くても、文章が子供っぽくなると技術報告書としての説得力が落ちます。以下の「技術者らしい接続詞・言い回し」を積極的に使いましょう。
- 根拠を述べる時
- 「~であることから、~と推察される。」
- 「~に起因するものと考えられる。」
- 選択理由を述べる時
- 「~を考慮し、〇〇工法を選定する。」
- 「~の観点から、〇〇が適切である。」
- 但し書き・配慮を入れる時(※加点ポイント)
- 「なお、施工に際しては~に留意する。」
- 「ただし、外観のみでの断定は困難であるため~」
✅ まとめ:記述式は「作文」ではなく「パズル」である
記述式試験を「イチから作文する」と思うから手が止まるのです。記述式は「知識のパズル」だと思ってください。
- 写真や問題文からピース(塩害やASRなどの原因)を選ぶ。
- その原因ピースにピタリと合う「調査のピース」と「補修のピース」を、自分の頭の引き出しから取り出す。
- それらを今回の「3段ロケットのテンプレート」にはめ込む。
- 「魔法の接続詞」で綺麗に繋ぐ。
これだけで、誰が読んでも納得する「合格答案」が完成します。
📅 次回予告
型を覚えたら、次は実践練習あるのみです。
次回は、「【診断士-13】記述式試験の攻略法②|『記述式問題(技術記述)』の模範解答例」を解説します。
実際に出題されそうな「複合劣化(塩害+中性化など)」のテーマを用いて、今回のテンプレートを使った具体的な解答例を一緒に作成してみましょう!
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ブログで学んだ「解答の型」を、様々な劣化パターンで使いこなすための実戦ドリルをご用意しました。
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