コンクリート診断士試験の択一式問題(全40問)のうち、最後の数問は「最新技術」や「環境問題」に関する出題枠となることが多いです。
ここは、「知っていれば一瞬で解けるが、知らないと勘で答えるしかない」分野。
近年のトレンドである以下の3つを押さえておけば、貴重な1〜2点を拾える確率が上がります。
- メンテナンスDX(ドローン、AI診断)
- 表面含浸材(シラン系とけい酸塩系の違い)
- 環境配慮(カーボンニュートラル、長寿命化)
この記事では、古い教科書には載っていないかもしれない「最新の常識」を、試験対策の要点に絞って解説します。
1. メンテナンスDX:ロボットとAIの活用
人手不足が深刻な建設業界において、点検・診断の自動化/効率化は国(国土交通省)が力を入れている分野です。
① ドローン(UAV)による点検
橋梁の床版裏や高橋脚など、人が近づくのが危険・困難な場所で活躍します。
- 可視画像撮影:
高解像度カメラで撮影し、条件が整えば微細なひび割れの検出が可能です(撮影距離・解像度・ブレ等に依存)。 - 赤外線サーモグラフィ:
- 原理: 浮きや剥離がある部分は、健全部と比べて温度変化が異なる(昼は熱くなりやすく、夜は冷めやすい)ことを利用。
- 試験対策: 自然の太陽光を利用する「パッシブ法」と、投光器などで加熱する「アクティブ法」があります。
基本はパッシブ法の話題が出やすい一方で、日照がない場所(橋の真下など)では適用しにくい、雨天時は条件が悪い…といった制約が“ひっかけ”になりやすいです。
② AI(人工知能)による診断支援
撮影した大量の画像から、AIが自動で「ひび割れ」や「錆汁」等を検出する技術です。
- 特徴: 判定の個人差を減らし、客観的なデータ化に寄与。
- 限界(※ここが試験に出やすい!):AIは主に「変状の抽出」まで。
その原因が塩害なのかASRなのかを「総合判定」するのは、あくまでコンクリート診断士(人間)の役割です。 - 「AIが最終診断を下す」といった趣旨の選択肢が出たら×。
2. 【最頻出】表面含浸工法の「2つの流派」
表面含浸材は近年採用が増えていますが、「シラン系」と「けい酸塩系」は機能がかなり違います。ここが最大の狙い目です。
① シラン系含浸材(吸水防止型)
- 機能: 表面に撥水層(水を弾く層)を作る
- メカニズム: 傘に防水スプレーをかけるイメージ
- 通気性(透湿性):あり (液体の水は通しにくいが、水蒸気は通しやすい)
→ 内部水分を逃がせるのがメリット - 用途: 塩害、ASR、凍害対策(外部からの水の侵入防止)
- 見た目:塗っても変わりにくい(濡れ色になりにくい)
② けい酸塩系含浸材(改質型・緻密化型)
- 機能: 内部空隙を埋めて緻密化する
- メカニズム: 反応生成物により空隙を埋め、表層を改質するイメージ
- 用途: 表面強度の回復、水密性向上(止水寄り)、中性化抑制
- 特徴: 微細なひび割れを閉塞させる「自己修復機能」をうたう製品もある
💡 【試験対策の覚え方】
- シラン系 = ゴアテックス(水は弾くが、湿気は通す)
- けい酸塩系 = 穴埋めパテ(隙間を埋めて硬くする)
3. 環境配慮とカーボンニュートラル
記述式問題(共通問題のマネジメント視点)でも使えるネタです。コンクリート業界の「脱炭素」の方向性を押さえましょう。
① 混合セメントの活用(CO2削減)
セメント製造(焼成)でCO2が大きく出るため、高炉スラグやフライアッシュ等を活用してセメント使用量を抑える。
(副次効果として、塩害・ASR等への寄与が話題になることも)
② コンクリートの長寿命化(LCC低減)
「作っては壊す」ほどCO2が増える。
診断士が適切な診断と補修で供用期間を延ばすこと自体が環境貢献、という文脈が出やすい。
③ カーボンハーフ/カーボンネガティブ(トレンド)
製造時のCO2排出を実質ゼロに近づけたり、CO2を固定化する技術が開発されています(トレンド知識として)
4. その他、知っておくべき頻出用語
・亜硝酸リチウム(リチウム工法)
亜硝酸イオンによる防錆の文脈、リチウムイオンによるASR抑制の文脈が混ざって出ることがあり、択一式のひっかけになりやすい用語です。
(「万能薬」と断定せず、“複合劣化で出やすい”くらいが安全)
・再アルカリ化工法
中性化したコンクリートに、電気的にアルカリ溶液を浸透させる工法。
工事期間中の通電が必要だが、通電終了後は装置を撤去できる点が「電気防食」との違いとして整理しやすい。
まとめ:トレンド技術の比較表
最後に、試験直前に見直せるリストです。スマホでスクショしておきましょう!
| 技術・工法 | 役割・特徴 | 注意点 |
| 赤外線サーモグラフィ | 浮き・剥離の検知 | パッシブ法は日照条件に左右される。雨天・夜間・日陰は条件が悪い。 |
| ドローン (UAV) | 近接目視の代替 (危険箇所の点検) | 橋の裏側等でGPSが入りにくい場合があり、操縦・自律飛行が難しくなることがある。 |
| AI診断 | ひび割れ等の検出・分類の支援 | 最終的な「総合判定」はAIではなく人間(診断士)。 |
| シラン系含浸材 | 撥水(吸水防止) | 透湿性がある(水蒸気は通す)。見た目は変わりにくい。 |
| けい酸塩系含浸材 | 緻密化(表層改質) | 表面を硬くする/止水寄りの整理。中性化抑制の文脈も。 |
📢 次回予告(最終回):
長かった連載も、いよいよ次がラストです。
最後は、「【診断士-16】試験当日の心構えと直前チェックリスト」。
試験1週間前にやるべきこと、当日の持ち物、そしてマークシートの魔物について。
実力を120%発揮して合格を掴み取るための、最後のメンタルケアをお届けします。


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