■ プレストレストコンクリート(PC)とは?
コンクリートは「圧縮力に強い」一方で、「引張力には弱い」という性質を持っています。この弱点を補うために、あらかじめコンクリートに圧縮応力(プレストレス)を加えておくことで、引張力に対する耐性を高める技術が「プレストレストコンクリート(PC)」です。
高強度のPC鋼材を引っ張った状態でコンクリートを固め、その反発力を使って荷重によって生じる引張応力を打ち消すことで、構造物の耐久性や性能を飛躍的に向上させます。
✨ プレストレストコンクリートの特徴
PCには、通常の鉄筋コンクリート(RC)にはない以下の優れた特徴があります。
- 引張力に強い曲げやせん断を受ける部材(例:梁)に適しており、引張力を効果的に減少させます。
- ひび割れの抑制あらかじめ圧縮力がかかっているためひび割れの発生を防ぎ、場合によっては「無ひび割れ断面」の設計も可能です。
- 断面の有効活用(小型化・軽量化)引張側も含めた全断面を有効に活用できるため、部材を小型化・軽量化でき、橋梁などの「長スパン構造」が可能になります。
- 復元性が高い弾性領域が広く、大きな荷重がかかっても、荷重を除いた後の変形(残留変形)が少ないため元の形状に戻りやすい性質があります。
- 耐久性・水密性の向上ひび割れが抑制されることと、高強度コンクリートを使用することから、高い耐久性と水密性が得られます。

🏗️ プレストレス導入方式(プレテンションとポストテンション)
プレストレスの導入方法には、大きく分けて「プレテンション方式」と「ポストテンション方式」の2種類があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 比較項目 | ① プレテンション方式 | ② ポストテンション方式 |
| 導入の仕組み | PC鋼材とコンクリートの付着によって導入 | 定着装置を使って機械的に導入 |
| 適した部材 | 小型部材 | 大型部材 |
| 生産場所 | 主に工場(量産向き) | 工場・現場施工どちらも対応可能 |
| 鋼材の配置 | 直線配置が基本(※曲線配置は不向き) | 曲線配置が容易(力学的に合理的な設計が可能) |
| その他の特徴 | 同一形状の部材の大量生産に適し、品質管理がしやすい。 | プレキャスト部材の接合や円形構造(PCタンク等)への応用が可能。 ※アンボンド部材(鋼材がコンクリートに付着しない)では再緊張などの管理がしやすい。 |
📉 プレストレスの損失要因
導入されたプレストレスは、永遠にそのまま維持されるわけではなく、さまざまな要因によって時間とともに減少(損失)します。設計時には、これらの損失を見越してあらかじめプレストレス量を調整しておく必要があります。
損失のタイミングによって、大きく以下の2つに分類されます。
① 緊張作業中・直後の損失(即時損失)
- コンクリートの弾性変形
- PC鋼材とシース(鋼材を通す管)との摩擦
② 経時的損失(長期的な損失)
- PC鋼材のリラクセーション(長期間引っ張られ続けることで、鋼材の応力が自然に減少する現象)
- コンクリートのクリープ(持続的な荷重により、時間とともにコンクリートの変形が増大する現象)
- コンクリートの乾燥収縮
✅ 学習のポイントまとめ
- プレストレストコンクリート(PC)は、引張力に弱いコンクリートの欠点を補う技術である。
- プレテンション方式は「工場生産向き・小型部材・付着で定着」。
- ポストテンション方式は「現場施工向き・大型部材・定着具で定着・曲線配置が容易」。
- プレストレスは「弾性変形・摩擦・リラクセーション・クリープ・収縮」によって時間とともに損失するため、設計時に考慮が必要。
- ひび割れ防止、長スパン化、復元性の高さなど、構造設計上のメリットが非常に多い。
✍️ 解いてみよう(過去問ドリル)
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四肢択一の過去問題です。正解と思う設問の○をタップ(クリック)してください。「回答」ボタンで結果と解説が表示されます。


