【診断士-12】記述式試験の攻略法①|合格する論文の「型」と「万能テンプレート」

【第Ⅱ部】コンクリート診断士

択一式(マークシート)がいくら高得点でも、この**「記述式(小論文)」**で足切りされれば不合格です。 コンクリート診断士試験の最大の難関は、間違いなくここにあります。

しかし、恐れる必要はありません。 診断士試験の論文は、「感想文」ではなく**「技術報告書」です。 つまり、文才は不要。「決まった型」**にはめて書けば、誰でも合格ラインの答案が作れるのです。

この記事では、どんな問題が出ても使える**「万能の構成テンプレート」**を公開します。


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1. 合格する論文の「3つの鉄則」

具体的な書き方の前に、採点官がどこを見ているか(採点基準)を知りましょう。

鉄則①:結論(原因)を最初にズバリ言う

「~という状況から、~だと思われるが、~の可能性もあり…」といった煮え切らない文章はNGです。
「劣化原因は、○○であると推定される。」
このように、冒頭で言い切る勇気を持ってください。診断士は医師と同じです。患者(建物)に「何の病気か」をはっきり告げるのが仕事です。

鉄則②:一貫性を持たせる(ブレない)

これが最も重要です。
× 悪い例(支離滅裂)

  • 原因:「塩害」と診断した。
  • 調査:「中性化深さ」を測った。
  • 対策:「ASR対策」をした。

これではストーリーが崩壊しています。「塩害」と言ったら、調査は「塩化物イオン量」、対策は「脱塩や電気防食」でなければなりません。この整合性が崩れると、大幅減点になります。

鉄則③:指定文字数の8割以上埋める

1000文字以内なら、最低でも800文字は書きましょう。白紙部分が多いと「書くことがない(知識不足)」とみなされます。テクニック以前に、熱意と知識量を文字数で示しましょう。


2. 合格答案の「黄金構成(3段ロケット)」

記述式問題(特に記述式問題A)の多くは、以下の3つを問う構成になっています。

  1. 変状の原因推定(なぜ劣化したか?)
  2. 必要な調査・試験(どうやって確認するか?)
  3. 補修・補強の方針(どう直すか?)

これをそのまま見出しにして、3つのブロックで構成します。

第1ブロック:原因の推定

写真や問題文の観察結果から、「なぜその原因だと判断したか」の根拠を列挙します。

  • キーワード:網目状ひび割れ、鉄筋に沿ったひび割れ、錆汁、ポップアウト、海岸近く、寒冷地など。

第2ブロック:調査・試験方法

推定した原因を「確定」させるための裏付け調査を書きます。

  • ポイント:必ず「非破壊試験(簡易)」と「微破壊試験(詳細)」の両方を挙げると高評価です。

第3ブロック:補修・補強の提案

劣化の進行度(グレード)に応じた対策を書きます。

  • ポイント:「進行性があるかどうか」に触れ、それに応じた工法(表面被覆か、断面修復かなど)を選定します。

3. そのまま使える!「万能テンプレート」

この形を覚えて、試験本番では( )の中身を入れ替えるだけでOKです。このまま暗記してしまいましょう。

【テンプレート】

1.変状の原因推定とその理由 本構造物に発生している変状の主な原因は、** 劣化名: 塩害 **であると推定される。 その理由は以下の通りである。 ① (形状的特徴):写真において、主鉄筋に沿った直線的なひび割れと、そこからの錆汁の流出が確認できるため。 ② (環境的特徴):問題文に「海岸から200m」とあり、飛来塩分の影響を強く受ける環境であるため。 ③ (除外理由):ひび割れに白色ゲル等の付着物は見られず、ASRの可能性は低いと考えられる。

2.原因特定のために行う調査・試験 推定を裏付け、劣化度を診断するために以下の調査を行う。 ① (非破壊検査)自然電位法により、鉄筋腐食の範囲と確率を非破壊で把握する。また、電磁波レーダ法により、かぶり厚さが不足していないか確認する。 ② (微破壊・化学分析):コアを採取し、深さごとの可溶性塩化物イオン量を測定する。これにより、鉄筋位置での塩分量が発錆限界値(一般に1.2kg/m3~2.0kg/m3)を超えているか確認する。

3.補修・補強の方針 調査の結果、鉄筋腐食が進行しているが、断面欠損は軽微であると仮定し、以下の補修を行う。 ① (劣化因子の遮断):これ以上の塩分侵入を防ぐため、表面被覆工法または表面含浸工法を採用する。 ② (断面修復):ひび割れ幅が大きい箇所や浮きがある箇所は、はつり取りを行い、防錆処理を施した上でポリマーセメントモルタル等で断面修復を行う。 なお、将来的な維持管理のため、定期的な目視点検を計画する。


4. 記述レベルを上げる「魔法の接続詞」

文章が子供っぽくならないよう、技術者らしい接続詞を使いましょう。

  • 根拠を述べる時:「~であることから、~と推察される。」「~に起因するものと考えられる。」
  • 選択理由を述べる時:「~を考慮し、〇〇工法を選定する。」「~の観点から、〇〇が適切である。」
  • 但し書きを入れる時:「なお、施工に際しては~に留意する。」

まとめ:記述式は「パズル」である

記述式試験を「作文」だと思うと手が止まりますが、**「知識のパズル」**だと思えば簡単です。

  1. 写真を見てピース(ASRなどの原因)を選ぶ。
  2. そのピースに合った「調査ピース」と「補修ピース」をテンプレートにはめる。
  3. 接続詞でつなぐ。

これだけで、合格答案は完成します。

次回予告: 型を覚えたら、次は実践練習です。 「【診断士-13】記述式試験の攻略法②|『記述式問題A(技術記述)』の模範解答例」 実際に出題されそうな「複合劣化(塩害+中性化)」などのテーマで、テンプレートを使った解答例を作成してみましょう。