8.コンクリートの耐久性

【第Ⅰ部】コンクリート技士・主任技士

コンクリート構造物の耐久性とは、気象、化学的浸食、物理的摩耗などの劣化要因に対して、構造物が長期間にわたり性能や機能を維持する能力を指します。以下では、代表的な劣化現象とその対策について解説します。

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塩害

概要

塩害とは、コンクリート中の塩化物イオン(Cl⁻)が鉄筋などの鋼材を腐食させ、構造物の性能を低下させる現象です。
→「塩害事例の画像を見る。」

腐食のメカニズム

  • 通常、コンクリートは高アルカリ性(pH12~13)で、鋼材表面に「不働態被膜」が形成され、腐食を防ぎます。
  • しかし、塩化物イオンが一定量を超えるとこの被膜が破壊され、鋼材が腐食を始めます。
  • 錆の体積は元の鋼材の2~3倍に膨張し、ひび割れやかぶりコンクリートの剥落を引き起こします。

塩化物イオンの侵入経路

  • 内在塩化物:海砂、混和剤、セメント、練混ぜ水に含まれる。
  • 外来塩化物:海水飛沫、凍結防止剤、飛来塩分など。

対策

  1. 腐食因子の除去・遮断
  2. かぶり厚の確保と密実なコンクリートの施工
  3. 防食鋼材や防錆剤の使用
  4. 電位制御による腐食抑制
  5. 高炉スラグ微粉末などの混和材の活用

内在塩化物に対する対策

  1. 土木学会コンクリート標準示方書やJASS5では,練混ぜ時に塩化物イオンの総量を0.30㎏/m³と規定している.(JIS A 5308 レディーミクストコンクリートも同様な規定)
  2. コンクリート混和剤のJIS A 6204の規格では,塩化物イオン量によって,Ⅰ種,Ⅱ種,Ⅲ種の3種類に区分されている。
出典:JIS A 6204

中性化

概要

中性化とは、空気中の二酸化炭素(CO₂)により、コンクリート中の水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化し、アルカリ性が低下する現象です。

Ca(OH)2​+CO2​→CaCO3​+H2​O
→「中性化事例の画像を見る。」

影響

  • アルカリ性が失われると不働態被膜が破壊され、鉄筋が腐食しやすくなります。

進行速度

  • 中性化深さ \(x\) は時間 \(t\)  の平方根に比例: \(x=b{\sqrt{t}}\)​
  • 相対湿度40~60%で最も進行しやすい。

対策

  • かぶり厚の増加、仕上げ材の施工、再アルカリ化工法の導入
  • フェノールフタレイン溶液による中性化判定(非中性化部は赤紫色)

アルカリ骨材反応(ASR)

概要

コンクリート中のアルカリと骨材中の反応性鉱物が化学反応を起こし、膨張性ゲルを生成してひび割れを生じさせる現象です。
→「ASR事例の画像を見る。」

発生条件(3要素)

  1. 反応性骨材の存在
  2. 高アルカリ性の細孔溶液
  3. 湿潤環境

 影響

  • ひび割れ、ゲルの滲出、目地のずれ、鉄筋の破断など
  • 耐凍害性・耐化学性の低下

試験方法

  • JIS A 1145(化学法):アルカリ減少量とシリカ溶出量で判定
  • JIS A 1146(モルタルバー法):6か月後の膨張量で判定

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出典;コンクリート技術の要点

対策

  • アルカリ量の制限
  • 高炉セメントやフライアッシュセメントの使用
  • 反応性のない骨材の選定
  • 水分の遮断

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化学的浸食

化学的浸食とは、外部から侵入した化学物質がコンクリートと反応し、組織を劣化させる現象です。主に以下の3つのタイプに分類されます:

  1. セメント成分の溶解:酸や塩類により、セメントの水和物が溶け出し、コンクリートが多孔質化。
  2. 膨張性化合物の生成:硫酸塩などと反応して膨張し、ひび割れや破壊を引き起こす。
  3. 長期的な溶脱:水に長期間さらされることで、セメント成分が徐々に失われる。

劣化因子の例

代表的な劣化因子には、酸、硫酸塩、海水、糖類、動植物油、酸性雨などがあります。

対策

化学的浸食への対策は、劣化因子の侵入を防ぎ、コンクリートの耐久性を高めることが基本です。主な対策は以下の通りです:

  1. 耐薬品性の高い材料の使用
    例:耐硫酸塩セメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなど。
  2. 表面保護
    コーティングや被覆材でコンクリート表面を保護し、化学物質の侵入を防止。
  3. 水セメント比の低減と密実な施工
    水密性を高め、劣化因子の浸透を抑制。
  4. かぶり厚の確保
    鉄筋の腐食を防ぐため、十分なかぶり厚を設ける。
  5. 定期的な点検と補修計画の実施
    劣化の早期発見と対応により、長寿命化を図る。
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凍害

概要

コンクリート中の水分が凍結・膨張(約9%)し、内部圧力で組織が破壊される現象です。

凍害事例の画像を見る。

特徴

  • 吸水性の高い骨材では「ポップアウト」が発生
  • 凍結融解の繰り返しが劣化を促進
  • 日向の方が劣化が進みやすい(融解→再凍結の繰り返し)

対策

  • 耐凍害性の高い骨材の使用(JIS A 1122)
  • AE剤による適切な空気量の確保(3~6%)
  • 水セメント比の低減と密実な施工

すり減り・キャビテーション

概要

  • すり減り:車両や流水中の砂などによる摩耗
  • キャビテーション:高速水流による空洞形成と圧壊

対策

  • 水セメント比の低い密実なコンクリート
  • 表面の平滑化
  • すり減り抵抗性の高い骨材の使用

すりへり事例画像を見る

✅ 試験対策のポイント

  • 各劣化現象のメカニズムと対策を整理
  • 中性化やASRの進行式・条件を理解
  • JIS規格や試験方法の名称と内容を把握
  • 耐久性向上のための材料選定と施工方法を確認

解いてみよう

理解度を確認するために、以下の過去問題に挑戦してみましょう。
四肢択一の過去問題です。正解と思う設問の○をクリックまたはタップしてください。解き終わったら「回答」をクリックまたはタップすると解答が表示されます。

コンクリートの耐久性に関する問題

問題1 コンクリートの耐久性に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。

問題2 塩害環境下のコンクリート構造物の鉄筋腐食対策に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

問題3 コンクリート構造物の耐久性の向上に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。

問題4 アルカリシリカ反応に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。

問題5 コンクリートの中性化に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。

問題6 アルカリシリカ反応に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。