コンクリートは、セメントペーストが骨材を結合することで強度を発現します。その性質は、材料の品質、施工、養生、材齢など多くの要因に影響されます。ここでは、硬化後のコンクリートの代表的な性質について解説します。
コンクリートの圧縮強度
圧縮強度が代表とされる理由
- 他の強度に比べて大きく、設計に有効。
- 他の強度や性質の推定に利用可能。
- 試験が簡便(JIS A1108)。
- 一般的な供試体は”直径に対する高さの比=2かつ粗骨材の最大寸法の3倍以上の直径を有する10φ×20㎝,12.5φ×25㎝,15φ×30㎝の円柱供試体が用いられている。
影響因子
- 材料:セメント強度、骨材の品質・形状。
- 粗な表面性状(砕石)は,川砂利に比べ10~20%の強度増加がみられる。
- 空気量:W/Cが一定の場合1%増加で4~6%強度低下。
- 施工:練混ぜ時間、加圧成型で強度向上。
- 練混ぜ時間が長いほど,セメントと水接触が良くなって強度が大きくなる。
- 練混ぜ時間は,硬練りのものほど,骨材寸法の小さなものほど,紛体量が多いものほど長くする必要がある。
- コンクリートは,成型時に加圧して硬化させると,一般的に強度は大きくなる。(遠心力法,真空法,機械的加圧法,転圧法)
- 材齢:7~14日で急増、28~90日で安定。
- 養生:湿潤養生が重要。高温養生は初期強度↑、長期強度↓。
- 試験条件:供試体の形状・寸法・載荷速度・乾湿状態など。
- 通常円柱体強度より角柱体強度の方がやや小さい値となる.
- 供試体の直径に対する高さの比が大きくなるほど強度は小さな値を示す。
- 供試体の寸法が大きくなるほど強度は小さな値を示す。
- 供試体作成時の不均一や充填不足,キャッピングの良否も強度に影響する。
- 強度試験時に供試体が乾いていると濡れている場合よりも強度が大きくなる。
その他の強度
| 種類 | 特徴 |
| 引張強度 | 圧縮強度の1/10~1/13(JIS A 1113) |
| 曲げ強度 | 圧縮強度の1/5~1/8(JIS A 1106) |
| せん断強度 | 圧縮強度と引張強度から算出: \(Fs=\frac{\sqrt{Fc{\times}Ft}}{2}\) \(Fs\):せん断強度 \(Fc\):圧縮強度 \(Ft\):引張強度 |
| 支圧強度 | 局部荷重に対する圧縮強度(例:橋脚支承部) |
| 疲労強度 | 静的強度の55~65%(200万回繰返し) |
引張強度
①コンクリートの引張強度は割裂試験で求めるのが一般的である.(JIS A 1113)
②引張強度は,圧縮強度のほぼ1/10~1/13であるが,高強度になるとその比は小さくなる.
曲げ強度
①曲げ強度の試験方法は角柱供試体(15×15×53㎝または10×10×40㎝)を用い,3等分点載荷で行う.(JIS A 1106)
②曲げ強度と圧縮強度の比は1/5~1/8程度である.
③曲げ強度試験の載荷方法には3等分点載荷のほかに中央点載荷があるが,中央点載荷の方が大きい曲げ強度を示す.これは中央点載荷の場合,曲げモーメントが最大になるのが1断面しかないのに3等分点載荷の場合には載荷点間の部分がすべて同一曲げモーメントになり,その間で最も弱い断面が破壊するからである.
せん断強度
①次式のように圧縮強度と引張強度から間接的に求める方法がある。
$$Fs=\frac{\sqrt{Fc{\times}Ft}}{2}$$
\(Fs\):せん断強度 \(Fc\):圧縮強度 \(Ft\):引張強度
支圧強度
橋脚の支承部やプレストレスコンクリートの緊張材の定着部などでは,部材面の一部分だけに圧縮応力が作用する.このような局部荷重を受ける場合のコンクリートの圧縮強度を支圧強度という。
疲労と疲労強度
①静的破壊強度よりも低い応力であっても,それが繰り返し載荷される都、材料は破壊に至ることがある.これを披露ないし疲労破壊と呼ぶ。
②繰返し応力の大きさ(上限応力あるいは応力振幅)と破壊までの繰返し回数(一般に対数目盛で示す)の間には直線関係が成立するといわれている.これをS-N線図という。
③無限回の繰返しに耐える限界を疲労限度などと呼ぶ。(応力集中のない平滑な応力状態の金属材料では認められるがコンクリートでは,1000万回の範囲では,まだ確認されていない。)
④コンクリートにおける200万回疲労強度は,静的強度の55~65%程度である.
出典;コンクリート技術の要点
変形性状
応力ひずみ関係
初期から非線形。最大応力時ひずみ:約0.2%、破壊時:約0.3~0.4%。
弾性係数
- 静的弾性係数:初期・割線・接線の3種。
- 動的弾性係数:非破壊試験で測定(JIS A 1127)、静的より10~40%大。
Ei:初期弾性係数(Ei),Ec:割線弾性係数,Et:接戦弾性係数
出典;コンクリート技術の要点
ポアソン比
- 圧縮時:1/5~1/7程度。
- \(μ=\frac{横ひずみ:εt}{縦ひずみ:εl}\)
物体に軸方向の力を加えると軸方向のひずみ(縦ひずみ:εl )とともに直角方向(横ひずみ:εt)が生じる。縦ひずみと横ひずみの絶対値の比をポアソン比という。
$$μ=\frac{横ひずみ:εt}{縦ひずみ:εl}$$
コンクリートの圧縮時のポアソン比は,一般に1/5~1/7程度である。
せん断弾性係数
- せん断力に対する弾性係数としてせん断弾性係数(剛性率)Gがある。
$$G=\frac{E}{2(μ+1)}$$
一般には,\(G\)≒(0.42~0.44)\(E\)となる。
クリープ
①クリープひずみの定義
持続荷重が作用すると,時間の経過とともにひずみが増大する。この現象をクリープといい,増大したひずみをクリープひずみという。
②下図は,クリープの時間的進行を示したものである。
出典;コンクリート技術の要点
③クリープ係数
クリープひずみの弾性ひずみに対する比をクリープ係数と呼ぶ。
クリープ係数\(φ\)=(εc/ε₀)=(クリープひずみ/弾性ひずみ)
クリープに影響する因子
①載荷期間中の大気湿度か低いほどクリープひずみは大きい。これは,コンクリートが乾燥するとクリープが助長されることを意味する。
②部材寸法が小さいほど(乾燥しやすいため)クリープひずみが大きくなる。
③セメントペーストが多いほどクリープひずみが大きい。
④水セメント比が大きいほどクリープひずみが大きい。
⑤組織が密実でない骨材を用いたり,粒度が不適当で空隙が多いコンクリートはクリープひずみが大きい。
⑥載荷荷重が大きいほど,クリープひずみは大きい。
⑦載荷時材齢が若いほど,クリープひずみは大きい。
クリープ破壊
①クリープは載荷応力にほぼ比例するが,ある程度以上載荷応力が大きくなれば,破壊に至る。これをクリープ破壊と呼び,クリープ破壊の起こる下限の応力をクリープ限度という。
クリープ限度は,コンクリート強度の75~85%である。
体積変化
乾燥収縮
①モルタルやコンクリートは,吸水によって膨張し,乾燥によって収縮する。
②乾燥収縮が周囲の拘束によって妨げられると,ひび割れが発生する。
③乾燥収縮は,単位セメント量および単位水量が多いほど大きくなる傾向であるが,単位水量の影響が著しい。
④乾燥収縮は,骨材の弾性係数が大きく,硬質なものほど小さくなる。
⑤部材寸法が大きいほど,乾燥収縮は小さくなる。
⑥乾燥収縮は,十分に養生を行ったコンクリートでは乾燥開始時材齢の影響をそれほど受けない。
自己収縮
①セメントの水和により凝結始発以後に巨視的に生じる現象を自己収縮という.自己収縮には物質の侵入や逸散,温度変化,外力や外部拘束に起因する体積変化は含まれない。
②自己収縮はセメント量(結合材量)が多いほど大きくなるため,高流動コンクリート,高強度コンクリート,マスコンクリートなどは,考慮が必要である。
温度変化による体積変化
温度の上昇によって長さ,体積が膨張する割合を熱膨張係数(線膨張係数)という。
①コンクリートの熱膨張係数(線膨張係数)は,常温の範囲で1°Cにつき7~13×10⁻⁶程度で,水セメント比,材齢による影響は小さいが骨材の岩質による影響が大きい。
②鉄筋とコンクリートの熱膨張係数(線膨張係数)はほとんど同じで,これが鉄筋コンクリート構造が成立するための前提の一つとなっている。
水密性
コンクリートの水密性を比較するための指標としては,次式で表される透水係数Kcが用いられる。
$$Q=K_{c}{\cdot A}{\cdot \Delta H}/L$$
\(Q\)〔㎤/s〕:流量
\(K_{c}\)〔cm/s〕:透水係数
\( A\)〔㎠〕:流れの断面積
\(\Delta H\)〔㎝〕:流入・流出の水頭差
\(L\)〔㎝〕:供試体の流れ方向の長さ
①水密性を悪くする最大の要因は,材料分離・ひび割れなどの施工欠陥である。
②施工欠陥のない普通コンクリートでは,最大の因子は水セメント比である。
コンクリート標準示方書では, (W/Cが55%以上になるとセメントペーストの水密性が著しく低下するため)W/Cが50%以下でコンクリート事態の水密性は確保される.としている。
JASS5では,透水性を低減して水密性を確保する場合の調合のW/Cは,50%以下と規定されている。
③W/Cが同一の場合,配合が貧より富になるにつれて透水係数は小さくなるが,富になり過ぎると逆に大きくなる。
④粗骨材の最大寸法が大きいほど,ブリーディングによる骨材下面の水膜が大きくなり,透水係数は増大する。
⑤ワーカブルなコンクリートを十分に締め固めるほど透水係数は小さくなる。
⑥湿潤養生が十分なほど,材齢が進むほど透水係数は小さくなる。
⑦乾燥は著しく透水係数を増大させる。
⑧AEコンクリートの空気量は,その量が推奨値程度では,一般的に透水係数を減少させる。良質なポゾランの使用は,透水係数を減少させ,水密性には効果がある。
耐火性
①コンクリートの熱膨張係数,熱伝導率,比熱などの熱に対する性質は,水セメント比や材齢の影響が小さく,骨材の種類および単位量に影響される。
②加熱によるコンクリートの強度や弾性の低下は,骨材とペーストの熱膨張の差による組織のゆるみ,ペースト中の結合水の脱水,水酸化カルシウムなどの水和物の分解,骨材の変質などによって生じ,強度よりも弾性係数の低下が著しい。
③普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートが過熱された場合,加熱温度が高いほど強度低下が著しく500℃では,常温時の60%以下に低下する。(500℃の場合で,12ヵ月経過後に強度は50~90%回復する。)
④弾性係数は,強度よりも著しく低下し,500℃では常温の10~20%となる。
⑤緻密なコンクリートあるいは含水率の高いコンクリートでは,急激な加熱によって爆裂することがある。
⑥鉄筋コンクリート構造
- ⑴鉄筋を保護するためかぶりを大きくする。
- ⑵かぶりコンクリートの剥落を防止するため,エキスパンドメタルなどを用いる。
- ⑶骨材に耐火性の高いものを用いる.(石灰質骨材は避けた方が良い.)
- ⑷コンクリートの表面をせっこうプラスターなどの材料で保護する。
- ⑸高強度コンクリート等の緻密なコンクリートには,ポリプロピレンなどの繊維を混入し爆裂を防ぐ。
解いてみよう

理解度を確認するために、以下の過去問題に挑戦してみましょう。
四肢択一の過去問題です。「問題 開始」をクリックまたはタップしてください。問題が表示されたら正解と思う設問の○をクリックまたはタップしてください。「次へ」をクリックまたはタップすると、次の問題が表示されます。
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