セメントとは?
建設分野で「セメント」とは、一般に水硬性セメントを指します。
主に石灰石・粘土・けい石などを高温で焼成・急冷して得られるクリンカーに石膏を加えて粉砕し、製造されます。
通常「セメント」と言えば、ポルトランドセメントを指すことが多いです。
1.ポルトランドセメントの種類(JIS R5210)
用途に応じて、以下の6種類があります:
- 普通ポルトランドセメント
- 早強ポルトランドセメント
- 超早強ポルトランドセメント
- 中庸熱ポルトランドセメント
- 低熱ポルトランドセメント
- 耐硫酸塩ポルトランドセメント
2.セメントクリンカーの主な組成化合物と特性
セメントの性能は、以下の4つの主成分によって決まります。
これらの含有量を調整することで、各種ポルトランドセメントが製造されます。
出典;コンクリート技術の要点
1.けい酸三カルシウム(C₃S)
水和反応速度:比較的早い
強度との関係:28日以内
水和熱 :中
収縮 :中
化学抵抗性 :中2.けい酸二カルシウム(C₂S)
水和反応速度:遅い
強度との関係:28日以降
水和熱 :小
収縮 :小
化学抵抗性 :大3.アルミン酸三カルシウム(C₃A)
水和反応速度:非常に早い
強度との関係:1日以内
水和熱 :大
収縮 :大
化学抵抗性 :小4.鉄アルミン酸四カルシウム(C₄AF)
水和反応速度:かなり早い
強度との関係:ほとんど寄与しない
水和熱 :小
収縮 :小
化学抵抗性 :中
■これらの組成化合物の含有量を変えることにより,各種のポルトランドセメントが製造される.出典;コンクリート技術の要点

スマホの場合、ピンチアウトで、図表を拡大することが出来ます。

各種のポルトランドセメントの組成化合物の構成割合の例として、”コンクリート技術の要点(コンクリート工学会)”に掲載されているグラフです。
出典;コンクリート技術の要点
3.ポルトランドセメントの品質(JIS R5210)
- 低アルカリ形:全アルカリ量0.6%以下(アルカリ骨材反応対策)
品質を決める主な項目:
- 密度
- 比表面積
- 凝結時間(始発・終結)
- 安定性(パット法・ルシャテリエ法)
- 圧縮強度
- 水和熱
出典;JIS R5210
出典;JIS R5210
用語について
ポルトランドセメントの品質は、JIS R5210 で決められています。
上記の表を見てください。品質を決める要素として、密度,比表面積、凝結(始発・終結),安定性(パット法,ルシャテリエ法),圧縮試験,水和熱があります。まずは、これらの用語の意味を理解しておく必要があります。
主任技士は、さらに踏み込んで密度、比表面積、凝結(始発・終結),安定性(パット法,ルシャテリエ法),圧縮試験,水和熱は、どのように算出するか試験方法も押さえておく必要があります。
コンクリートの用語に関する定義は、「JIS A 0203 コンクリート用語」に掲載されています。
コンクリート技術の要点や各種参考書にも説明があると思いますので、理解してください。
ポルトランドセメント まとめ
ポルトランドセメント 普通 早強 超早強 中庸熱 低熱 耐硫酸塩 ⇒6種類
・凝結、安定性のJIS規定は、各種セメント共通
・早期に強度を出す目的のセメントは、1日目の強度が規定されている。
(早強(σ1日 10.0N/mm²)・超早強(σ1日 20.0N/mm²))
・水和熱を抑える目的のセメント(低熱・中庸熱)は、7日、28日の水和熱の上限値が規定されている。
・セメントに悪影響を与える化学成分(酸化マグネシウム、三酸化硫黄、強熱原料、全アルカリ量、塩化物イオン)は、各セメントに上限値が規定されている。
・中庸熱では、けい酸三化カルシウムの上限値が規定され、低熱では、けい酸二カルシウムの下限値が規定されている。
混合セメント
混合セメントは、ポルトランドセメントと各種混合材を混ぜ合わせたセメントで、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントの3種類があり、混合材の分量により,それぞれにA種、B種、C種に分類されたものがJISで規定されています。
混合材は、いずれも産業副産物です。これらの再利用は、環境負荷低減や脱炭社会に大いに貢献していると考えることが出来ます。
高炉セメント
製鉄所で、精錬の過程で排出される高炉スラグ(微粉末)を混合したものです。高炉スラグは、潜在水硬性(水で固まる性質)があり、初期強度は小さいが、長期強度は大きいという特徴があります。
JIS R5211 では,混合の重量割合によって,A種,B種,C種に分類されており,品質が規定されています。
出典;JIS R 5211
フライアッシュセメント
火力発電所等で微粉炭を燃焼したときに排出されるフライアッシュを混合したものです。
フライアッシユは、ポゾラン反応性を有し、良質なものは球形であるため単位水量を滅じ長期的に強度を発現する働きがあります。
乾燥収縮は小さく,水和熱も低いためダムなどのマスコンクリートに適しています。
JIS R5213 では,混合の重量割合によって,A種,B種,C種に分類されており,品質が規定されています。
出典;JIS R5213
シリカセメント
フェロシリコンや金属シリコンの製造過程で生じるシリカフュームを混合したもので、 マイクロフィラー効果による強度増進が優れています。JIS R5212 では,混合の重量割合によって,A種,B種,C種に分類されており,品質が規定されています。
出典;JIS R 5212
混合セメント まとめ
混合セメントには、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントの3種類があり、混合材の分量によりA種、B種、C種がJISで規定されている。
キーワード
高炉スラグ → 潜在水硬性
フライアッシュ→ ポゾラン反応
シリカ → マイクロフィラー効果
エコセメント
都市ごみ焼却灰などの廃棄物を主原料としたセメントです。都市ごみ焼却灰を主とし必要に応じて下水汚泥などの廃棄物を従としてエコセメントクリンカの主原料に用い,製品1tにつきこれらの廃棄物を乾燥ベースで500kg以上使用してつくられるセメン卜としてJIS R5214で定義されています。
工コセメントはその特徴により「普通エコセメント」と「速硬工コセメント」の2種類に分類されています。普通工コセメントは,セメン卜中の塩化物イオン量が0.1%以下,速硬工コセメントは,セメント中の塩化物イオン量が0.5%以上1.5%以下と規定されています。
出典;JIS R 5214
セメントの貯蔵(コンクリート標準示方書:施工編)
セメントは、その品質に影響を及ぼさないように貯蔵する
- セメントは、空気に触れると風化する。湿気や通風を避け保存する。
- サイロの容量は、1日の使用量の3倍以上が望ましい。(プラントがサービスステーションの近傍にある場合は、サイロの容量を小さくすることができる。)
- 袋詰めセメントは、木造の倉庫では、地面と床のあきは、45cm以上必要。
- 袋詰めセメントの積重ねは、下部の固結防止の観点から13袋以下とするとよい。
セメントの温度
- 一般に50℃程度以下のセメントを使用すれば、問題を生じることは少ない。
解いてみよう

理解度を確認するために、以下の過去問題に挑戦してみましょう。
四肢択一の過去問題です。正解と思う設問の○をクリックまたはタップしてください。解き終わったら「回答」をクリックまたはタップすると解答が表示されます。














