鉄筋コンクリート構造(RC構造)の基礎知識
鉄筋コンクリート構造とは、圧縮に強いコンクリートと引張に強い鉄筋を組み合わせることで、構造物の強度と耐久性を高めた構造形式です。両者の特性を活かすことで、荷重や地震に対して高い抵抗力を持つ建築物が実現できます。
応力と断面力の基本
構造物に外力が加わると、部材内部にはそれに抵抗する力(内力)が生じます。これを**断面力(部材応力)**と呼び、以下の3種類に分類されます:
- 軸力(引張・圧縮)
- せん断力
- 曲げモーメント
これらの応力を理解することで、部材の安全性や耐力を評価することが可能になります。
断面力の検索を見る。
鉄筋の役割
引張力への対応
コンクリートは引張力に弱いため、引張力が作用する部分には鉄筋(主筋)を配置します。これにより、ひび割れや破壊を防ぎ、構造の安全性を確保します。
圧縮力への対応
圧縮力は主にコンクリートが負担しますが、圧縮鉄筋を併用することで、変形能力(じん性)が向上します。ただし、鉄筋量が過剰になると経済性が低下するため、適切な配分が重要です。
せん断力への対応
せん断力には、せん断補強筋(スターラップやフープ筋など)を用いて対応します。これにより、せん断破壊を防ぎ、構造の安定性を高めます。
梁の種類と応力図
代表的な梁の種類には以下があります:
- 単純梁
- 片持ち梁
- 張り出し柱
- 両端固定梁
これらに荷重が作用すると、曲げモーメントやせん断力が発生し、ひび割れの位置や鉄筋の配置に影響を与えます。特に、等分布荷重が作用した場合には、曲げモーメントは二次曲線、せん断力は傾斜直線として分布します。
代表的な梁(単純梁、片持ち梁、張り出しを有する柱、両端固定梁)の応力が作用した場合の曲げモーメント図、せん断力図を示しました。
最低限、集中荷重や等分布荷重が作用した場合の曲げモーメント図やせん断力図がイメージ出来るようにしておくと、鉄筋コンクリート部材に応力を掛けたときの部材に発生するひび割れ位置の問題や鉄筋の配置位置の問題に対して、ある程度、直感的に解けるようになると思います。
単純梁

片持ち梁

張出しを有する柱

両端固定梁

等分布荷重が作用した場合の各梁の応力のイメージ図
上記の単純梁、片持ち梁、張出しを有する柱、両端固定梁は、集中荷重が作用した場合のイメージ図でした。等分布荷重が作用した場合は、曲げモーメントが2次曲線、せん断力図が+と-の傾斜直線になります。

ラーメンの応力イメージ図

コンクリートと鉄筋の相互作用
コンクリートと鉄筋には,応力の分担の役割意外にも,相互の性能を高め合う次のような効果もあります。
鉄筋を包むコンクリートの効果
コンクリートは鉄筋を覆うことで、防錆性や耐火性を高めます。かぶり厚を確保することで、塩害や化学物質の侵入も防止できます。
コンクリートを拘束する鉄筋の効果
鉄筋はコンクリートを拘束し、耐力やじん性を向上させます。特に地震時などの繰り返し荷重に対して、コンクリートの脱落を防ぎ、構造の安定性を保ちます。
ひび割れの種類と特徴
鉄筋コンクリート構造では、以下のようなひび割れが発生する可能性があります:
- 曲げひび割れ:下縁から垂直に発生
- 曲げせん断ひび割れ:斜めに成長するひび割れ
- 斜め引張ひび割れ:せん断力が卓越する領域で発生
- 付着ひび割れ:鉄筋の付着応力による短い斜めひび割れ
- 収縮ひび割れ:乾燥や硬化による収縮で発生
- 不同沈下によるひび割れ:地盤の沈下による引張力で発生
→曲げひび割れ等の画像を見る。
曲げ耐力算定の基本仮定
鉄筋コンクリート部材の設計では、以下の仮定を用います:
- 平面保持の仮定:変形後も断面は平面を保つ
- 弾性体の仮定:鉄筋とコンクリートは弾性体として扱う
- 付着力による一体化:鉄筋とコンクリートはずれない
- コンクリートは引張力を負担しない
これらの仮定に基づいて、断面の応力分布や鉄筋比などを算定します。
平面保持の仮定
平面保持の仮定では、断面内の各点の軸方向力のひずみは、中立軸からの距離に比例して直線分布すると仮定します。これにより、断面内の応力度は、そのひずみにヤング係数を乗じて得ることができます。断面内のヤング係数が一定であるときは、応力分布が直線的に変化し、各点の曲げ応力は中立軸からの距離に比例し、曲げ応力は、断面の縁で最大となります。
下図は、はりの断面を模式的に表したものです。

断面算定(上図のような基本的な単鉄筋矩形断面)の際、出てくる用語を参考に示します。
①はりの有効高さ d
圧縮側のコンクリート縁から引張鉄筋断面中心までの距離
②中立軸比k
圧縮側コンクリート縁から中立軸までの距離Xnを有効高さdで除した値
k=Xn/d
③応力中心距離
圧縮力の合力から引張力の合力までの垂直距離
④引張鉄筋比Pt
引張鉄筋断面積atを有効断面積b✕dで除した値
pt=at/bd
⑤つり合い鉄筋比
鉄筋コンクリート部材において、曲げによるコンクリート縁圧縮ひずみが終局圧縮ひずみに達すると同時に鉄筋の引張応力度が降伏強度になるような引張鉄筋比をいう。
一般につり合い鉄筋比以下では引張破壊が生じ、それ以上であれば圧縮破壊が生じる。
許容応力度法における場合には、コンクリート縁圧縮応力と鉄筋の引張応力が、それぞれの許容応力度となるような引張鉄筋比を意味します。
🔑 鉄筋コンクリート構造の学習ポイント
1. RC構造の基本概念を理解する
- コンクリートは圧縮に強く、鉄筋は引張に強い。
- 両者を組み合わせることで、構造物の耐久性・安全性が向上する。
2. 応力の種類と断面力の理解
- 構造物に作用する力は、軸力・せん断力・曲げモーメントに分類される。
- それぞれの応力が部材にどう影響するかをイメージできるようにする。
3. 鉄筋の役割と配置
- 引張力 → 主筋(引張鉄筋)
- 圧縮力 → コンクリート+圧縮鉄筋(必要に応じて)
- せん断力 → スターラップやフープ筋などの補強筋
4. 梁の種類と応力図の把握
- 単純梁、片持ち梁、両端固定梁などの応力分布を理解する。
- 曲げモーメント図・せん断力図を描けるようにする。
5. ひび割れの種類と原因
- 曲げひび割れ、曲げせん断ひび割れ、斜め引張ひび割れなどの特徴を覚える。
- ひび割れの発生位置と方向から、応力の種類を推定できるようにする。
6. コンクリートと鉄筋の相互作用
- コンクリートが鉄筋を保護(防錆・耐火性)
- 鉄筋がコンクリートを拘束(じん性・耐震性向上)
7. 設計上の基本仮定
- 平面保持の仮定
- 弾性体としての扱い(フックの法則)
- 鉄筋とコンクリートの一体化(付着力)
- コンクリートは引張力を負担しない
8. 断面算定に関する用語の理解
- 有効高さ、引張鉄筋比、中立軸比、応力中心距離など
- つり合い鉄筋比の意味と設計への影響
📘 学習のコツ
- 図や模式図を活用して、応力の分布やひび割れの位置を視覚的に理解する。
- 過去問を繰り返し解くことで、出題傾向と理解度を確認する。
- 実務との関連性を意識して、設計や施工にどう活かされるかを考える。
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